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院長コラム

コロナショックのあとで (2) : こころにはバイアスがある(2020.06.05更新)

養育環境は煽られやすさに影響することを前回に述べました。ここで述べた不安定な養育環境とは「合理性の少なさ」を持つ養育者に育てられた環境を示します。さて「合理性の少ない状態」とはどのようなことでしょうか。

「ほとんど大丈夫」は怖い : アレのパラドックス

100個の玉が入ったA,B,2つの箱があります。一回で赤を引けば賞金がもらえます。
A「赤61個、白39個」賞金52万 B「赤63個、白37個」賞金50万
あなたならばA,Bのどちらを選びますか。
次に同様に100個の玉が入ったC,D,2つの箱があります。同様に赤を引けば賞金です。
C「赤98個、白2個」賞金52万 D「赤100個、白0個」賞金50万
今度はC,Dのどちらを選びますか。
以上の2つの質問で、多いのは「AとD」をとるケースです。
良く考えてみるとAとBの差は、実はCとDの差は同一です。なぜならAとBからそれぞれ37個の白を抜いて赤に入れ替えたのがC、Dだからです。ところが特にCとDの比較では圧倒的にDをとる人が多くなるのは想像に難くないと思います。

危険回避的な構想

上述の例のように実際は同じ確率でも、Aを選んだ人がDを選んでしまうのです。
これは人がモノを考えるときに 「瞬時で理解可能な範囲」 に頼ってしまうからでしょう。そしてこの「瞬時で」考えなければならない癖がつかざるを得ないのが、虐待や親が急にいなくなるなど予測不能で不安定な場面にさらされ、そこで生きるためには「瞬時に」危険回避策を考えざるを得なかった養育環境に影響すると思います。
つまり上述のアレのパラドックスの例では、Dの「絶対に大丈夫」の箱に対し、より大きく魅力を引かれてしまいます。

危険愛好的な構想

その一方で危険回避的の程度が大きい人ほど、同時に危険愛好的つまり博打好きな要素も大きいと言われています。これはギャンブル依存症の人にもあてはまりますが、「絶対的な得」へのこだわりが強い人ほど、ひとたび損失を抱えた場面では「損は敗北」と考えがちだからです。その結果傍から見れば得られそうもないことでも、「やぶれかぶれ」に急に変化するということです。

コロナに対する考え方に応用すると…。

さてコロナに対する危機管理にも、このような心の視点が応用できると思います。現在収束気味で、少なくとも「以前の参照点」よりは罹患を含めて影響する確率が少ないにもかかわらず、「とても小さい確率を見続けている結果、易々と受け取れるものを得られる余裕がなくなる」といった心持ちの人がおります。
以上のように、このように危険回避傾向が強い人は、実はどこかで危険愛好的であり、かつこのような方はより「過去の体験の影響」を振り返ってみることで、適切適度な危機管理を保てる立ち居振る舞いになれるかと思います。

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