こころ、こんにちは。

COLUMN院長コラム

【ミニコラム】おくすりの立ち位置

2018.11.05

 「どのような状態になったら薬は必要ですか?」と訊かれることがございます。こころの不調における服薬の境い目については、私は次のような例えをしています。

 ひとつは、薬は「浮き袋」です。心の不調の時は知らず知らずのうちに、泳ぎ方が立ち泳ぎのようになっていたりします。このような時はそのまま一人でもがいても限界があるため、薬という浮き袋を使って水底に沈まないようにします。このようにすることで、少なくとも水面が見えるような位置に保ちつつ、次を考えて行くゆとりが生まれます。

 もう一つは自転車の「補助輪」という言いまわしをしています。これは世間の風が従来より強いと、今まで通りの運転では前に進まず、場合によっては止まってしまいます。自転車は二輪ですので、漕ぎ続けていないと倒れてしまいます。そこで薬という補助輪をつけて、漕がなくても倒れないようにします。

 「浮き袋」も「補助輪」も、付けなくても良い状態であれば、付けない方が本来の泳ぎ方や漕ぎ方に近くはなります。従って ”もがかなくもよい状態”ならば、薬がない方が充実する場合もあるでしょう。しかしこのまま行ったら不本意にも沈んだり倒れたりが想定される場合は、スピードを落としてでも、不本意な想いが被さらないようにする手もあります。

 薬を使うにせよ使わないにせよ、何よりも「やったことが報われない」という想いに駆られることは避けたいと思っています。なぜなら釈然感のなさが、人が次に向き合うのを阻む大きな要因になりますので…。