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COLUMN院長コラム

【ミニコラム】飲酒量低減薬の発売で…

2019.01.17

この度、飲酒量を抑える薬の発売が承認されました。飲酒1-2時間前に服用すると飲酒量を抑えられるという流れです。
これは世間的あるいは教科書的に見れば、喜ばしい一面は沢山あります。アルコールから無理なく離れる道筋を使うことで、アルコールそのものが及ぼす心身の影響から距離を置くことができるようになるからです。
しかし依存症はそもそも「鬱憤に対する回避行為」です。よって対象物質から距離を置くことが以前より容易にできるようになれば、 ”それを使わざるを得ない背景” にも目を向けることが重要となるでしょう。なぜなら依存症とは、様々な衝動欲求を依存症対象で抑えているからです。
ここで個別事情に目を向けることなく、飲酒量低減薬の使用だけが目立つようになれば、いわば目先の噴火を抑えるだけに等しくなります。これはつまりマグマの部分はより残されたままを意味します。よってこの残されたマグマが、暴力や窃盗、あるいはうつ病や自殺衝動など、別の形として浮き彫りになる危険性も潜んでいます。
よってこの飲酒量低減薬の発売により、当事者の「酒を使わざるを得なかった心持ち」にますます向き合うことが必要となってくるでしょう。単純に「こころのケア」という言い回しだけで済ませてほしくないものです。