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COLUMN院長コラム

親に翻弄された親たち(後半)

2018.09.11

「アンビバレント」が生じる理由

前半で「おびき寄せておいて、叩く」というフレーズを出しました。このように一転して反対の体に出てくるのを「アンビバレント」といいます。正式には「両価性」と訳しますが、これを実社会に落とし込むと、いわゆる「態度の豹変」まる様々な事象を示します。
ここで実家帰省の話題に戻します。なぜ母親は特に娘に対して実家に帰省を促しておきながら、いざ帰省した娘に対して豹変した態度を取ってしまうのでしょうか。
これは実家帰省に限ったことではないのですが、得てしてこのように一見訳の分からない手のひら返しが生じた場合は、「”その場にいない人物の存在”の存在」を意識するようにして頂ければと存じます。

「墓からのメッセージ」に注意

さてこと実家帰省については、時間が経つにつれ実は母親の中に自分の親、つまり娘から見れば「祖父母」の存在がちらつくようになり、その結果母親の態度が豹変してくるのです。特に祖父母に大切にされた実感が少ない母親、姉妹との競争間にさらされた母親などは、祖父母に対して親離れ出来る機会が減るため、意識させられる機会が多くなります。
ちなみに親離れというのは、実は子どもが親にどのように隠し事をしていくかの積み重ねです。よって子どもが隠し事をしようとしても、親側がそれを面白く思わずに他の従順な姉妹に目が向くようになる危険があれば、自分がないがしろにされる危険性が高くなりますので、娘としては親に隠し事をしていくことを躊躇します。このようなことが親に支配されるようになる一因です
少々脱線しましたが、既に祖父母は亡くなっている場合が、母親の豹変の度合いが高くなります。なぜなら娘の態度に伴う祖父母の機嫌の変化を、母親がこれまでの中から想像するしかないからです。だから母親は「墓から母親に送られるメッセージ」を意識するようになります。

いま生きている人を優先する

祖父母に支配されている母親が、娘に対して豹変した態度になる理由は二つです。
一つは「怖さ」。つまり「娘のそのような態度を祖父母が見聞きしたときに、”あんたはどういう娘の育て方をしたの。やっぱりあんたはダメな娘ね” と、墓に眠る祖父母から母親が責められるのではないか」という不安が母親の心の中に宿ることです。実際に祖父母はいないのですから、娘からはなぜかわからず、結果的に母親の態度の変化は豹変に見えます。
もう一つは「嫉妬」。これは「もし娘のそのような自由な態度を私が許してしまったら、私が祖父母に対して不本意ながら従ってきたのは、一体何だったのか」という鬱憤です。
日本は古来や祖先を優先にするように教わってきている節もありますが、これは世代間関係が嫉妬なく回るための方策と言っても過言ではありません。下の世代の人は、「二世代上の人に捉われがちな上の世代」について心にとめる必要が出てくるでしょう。
最後に話は少し飛びますが、このような「同じ屋根の下で過ごした人間関係の世代伝達上の軋み」は、「パワーハラスメントの構図」にもみられます。ついでにいうと、現在ワイドショーをにぎわせている、各種体育会系の構図にも応用できるでしょう。