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COLUMN院長コラム

神経症治療の本質…「確率を見極めて捨てていくという腹括り」

2019.02.04

「その問題はまた起こるか…。」…神経症という強迫思考

神経症とは、人間の脳のバイアスに由来します。その一つの大きなものが「また同じことが起こったらどうしよう」という想いです。神経症の治療とは、この「同じことが起こる事象」を客観的に見つめ、それがまた生じる確率が小さいことを身体で認識し静観できるようになることで、普通にしていれば容易に得られる有益な出来事や感性を取りこぼすことのないようにすることと思います。

職場の人間関係では「また同じことは起こりにくい」

このように述べると疑いの目を向けられることも多いですが、職場での人間関係を例に取ります。こと職場では「 (例えば休職した時と) 同じような ”人間関係” が、復職後にまた生じる」確率は、とても小さいです。なぜなら職場の人間関係は、家族と異なり最終的には顧客を向いているからです。また同じように顧客がいる限り、会社は「あのときと同じ」ではいられません。このような中での人間関係は、例えば私と上司、私と同僚でも決して対立関係ではなく、「顧客に向かって同じ方向を向いている」というのが基本的に構造です。
もしそれでも「あの時と同じような人間関係が起こったらどうしよう」という不安が募って復職にたじろぐ場合は、目先の会社ではなく「会社で生じたこと以前の、同じような出来事」を考えていきます。つまり過敏に考えざるを得なくなっている過去歴を探ります。この前提が、その方の個人事情つまり大きくは「成育歴」と「家族歴」になります。

親からの「入れ知恵」

このように考えると、大抵「また同じことが起こったらどうしよう」と想像している場合、多くは子ども時代に遡って「また同じことが起こりそう」が反映していることが見えてきます。親から得た仕込みと近々の出来事にリンクされることで、同じような想いに駆られるという仕組みに気付いていくことが神経症の治療です。
総じて親がもたらしてきた「そんなことしていると、また同じことになるよ」という無根拠な断定は、子どもの脳には様々なところに波及します。それで大人になっても過去と未来を不合理な不安で結びつける、一つの例ですがこれが大きな神経症の由来です。
よって、「これから新たに起こる出来事は、過去と被る確率はとても少ない」… このように過去を俯瞰し、体感的に切り離せるようになることが目標です。