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完璧主義者の葛藤とパワハラとの繋がり

[2018.06.21]

扱いにくい完璧主義者は、むしろ世間にいる。

今回は完璧主義について述べます。ここで「完璧にやらないと気が済まない」と自ら悩んで相談に来られる人は、その時点でとてもご自身に向き合っているといえます。自分が完璧主義な理由を深堀りすることに、その時点ですでに抵抗がないからです。既に完璧主義は自分のせいで生じるものではなく、自分がどのような影響を受けて完璧主義者になってきたのかを吟味する姿勢が整っているといえます。

むしろ問題となるのは、「完璧主義」を自認していない人です。想像に難くないでしょうが、このような人は正論を振りかざすことに「なっています」。一つの出来事も自分の頭から漏らさず、完璧にこなすことを誉れと認識しているからです。でも他者から見れば、このような人がむしろ周囲を引っ掻き回している人になることは言うまでもありません。

自認しない完璧主義者は「批判が多い」。

上述のような人が引き起こす風潮がさらに二つあります。一つはいわゆる「地獄耳」です。もう一つの方が厄介なのですが、周囲の分かりやすい人をつるし上げて「あの人は引っ掻き回している」と言いふらすようになることです。

さてこのように一見何事にも精通したがる人が、少ない情報と過去の自分に経験に基づいて無根拠断定系で他人を批評するようになっているとき、この人は二つの欲求の中で葛藤していると考えられます。

冒頭に述べた「完璧にやらないと気が済まない」自分に「悩んで」いる人は、当然「周りから批評されるのが怖い」ことが優位です。しかしここに「他人の悪口が多くなってくる完璧主義者」はやや違います。この時この人は「周囲から何か言われるのが怖い」に対して、「他人を決めつけることで早くすっきりしたい」という代償の願望が重なっているのです。このような人は、「はっきりしないことはダメなこと」と強くせがまれた過去があり、そのことで不遇を感じていることが考えられます。よって「自分は言われたくないが、自分はモノ申したい…」という怖さと瞬時欲求の中で揺れ動き、この双方を満たそうとしたときに、「自分は絶対に言われないようにしよう」と思う気持ちが強化され、生産性の少ない完璧主義に繋がります。

自認しない完璧主義者は「媚びる」。

 もうひとつこのような人の特徴が「媚び」です。例えば「権力に媚びる上司」でしょうか。本人が様々な施策をそれまで掲げていても、権力を持っている人 (と思われている人を含む) の「うるさい一言」に振り回されてしまい、実体損益を吟味しなくなってしまいます。ことこのような波が企業に生じると、本来顧客に向けて施策を練る会社が、俗にいう「正論」に騙されてしまい、視界が狭くなってしまいます。

パワハラと完璧主義

このような心の動きは、パワー・ハラスメントの心理を考えると繋がりが見えます。例えばパワハラが収まらない上司の心的葛藤は、「俺だって今まで理不尽なことをされてきたのを我慢してきたのだ。それなのに部下に同じことをして俺がパワハラと言われて認められなくなったら、俺が今まで耐えてきたのは何だったんだ!!」というものです。「耐えてきた自分」を御和算、つまり「なかったこと」にされるがとても怖くて、その結果「俺は間違っていない」と主張するべくパワハラが続くのです。

話を戻して「悪口が止まらない完璧主義者」もパワハラと同様の葛藤です。「こと細かいが軸はぶれる」・「こびへつらう」・「部下と思うと態度が強くなる」・「審議の内容吟味より相手がどう思っているかだけ聞きたがる」などは、周囲から疎まれることを過度に怖がっている人の特徴です。

このように「完璧主義者」と「パワハラ」は、「これまでのやり方が認められなかった」、あるいは「否定された経験の蓄積」という同じ葛藤から生じます。このような人を目の当りにしたときの応急処置的として、「あっ、この人は過去にあしらわれた経験が忘れられず、それで淋しいのね」と、まずはピンと来ていただければと思います。

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