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不眠症、睡眠障害の相談・治療

不眠症・睡眠障害には様々な観点があり、「眠れないから睡眠薬を使用する」わけではありません。安易に睡眠薬を使うと場合によっては逆効果になることもあり、注意が必要です。臨床上は不眠の状態像から、適切な薬物を選定します。

入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒

入眠困難~「寝付けない」 : 以下のように分けて考えます。

① 物事を考えていて眠れない場合

いわゆる「思い悩んで」の不眠の場合は、睡眠薬の前に抗不安薬(精神安定剤)の服用を考慮します。精神状態が落ち着けば眠りが促されることが想定されるためです。

② 「眠れない、眠れない」とベッドで寝返りを打っている状態が続く場合

必要な睡眠が適切な時間帯に巡ってこないため、少量の抗精神病薬での睡眠誘導が優先され、場合により睡眠導入剤も考慮されます。通常は、一旦睡眠に入れば眠り続けることが多いため、長時間作用型の睡眠薬は用いられません。

③ 頭が冴えてしまっている場合

眠れずに起き上がってTVやスマホなどをしている場合には、上述の二つの状況に比べて睡眠薬の使用も考慮されます。

中途覚醒 ~ 一旦は眠るが、夜中に途中で起きてしまう場合

睡眠は主に四つの「深さ」に分かれ、大きく分けては浅い眠りと深い眠りを約1時間半の周期で繰り返しています。深い「ノンレム睡眠」と浅い「レム睡眠」という言葉をご存知の方もいらっしゃるでしょう。夜中に途中で起きてしまう場合は、何らかの要因で浅い睡眠が多いことを意味します。この場合は睡眠の深さ(睡眠潜時)を保つ作用の高い、抗うつ薬も考慮されます。

なお睡眠中に気道が閉塞し呼吸が妨げられて目覚めるという睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、脳が酸素を欲しがりヘルプを出して覚醒している状態です。この時に睡眠薬で脳を眠らせようとすると、かえって脳が呼吸苦に気付かない状態を作り出すことにもなりかねず、安易に睡眠薬は処方しません。このような場合は根本的な原因精査と治療のため、睡眠外来を紹介しています。

早朝覚醒 (熟眠困難) ~ 朝早くに目覚めてしまい、熟睡感がない場合。

まず代表的な早朝覚醒の病気に、うつ病があります。思考制止や決断力低下のため入眠困難は目立ちませんが、朝早くに起きてしまいます。深い眠りが続かない脳の状態が反映されています。この場合は睡眠薬を使わないことはありませんが、抗うつ薬に加え、近年は睡眠を誘導する抗精神病薬を併せることが多いです。

「眠れなければ睡眠薬」ではありません

睡眠薬は精神科で頻繁に処方されますが、「眠れなければ睡眠薬」ではありません。睡眠薬は浅い眠りを促す作用があり、悪夢を生じることがあります。また例えばベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬は「耐性」があり、長期間服薬や多量服用で効き目が弱まり、「以前と同様の睡眠を保とうとして、よりたくさんの量を欲しがる」傾向をもたらします。また前述の睡眠時無呼吸症候群のように器質由来の不眠では、睡眠薬服用が逆効果をとなることもあります。

現在はドラッグストアでも睡眠導入剤が購入可能ですが、不眠にはこのように様々な要因が含まれます。今までご経験がない方は、最初は医師との相談が推奨されます。

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